Classici giapponesi con furigana
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みかん
蜜柑
佐左木 俊郎
Leggi 蜜柑 (みかん) di 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6618 caratteri · 14 schermate
「眩しいんだ。眩しいんだ。」と弥平爺は、自分の顔でお婆さんの顔へ日蔭をつくった。
「うむ。珍しい人が来なしたで……」
お婆さんは、遠い遠い昔の記憶を呼び起こすようにして、頬の上に微かな笑いの線をうごめかした。
「それさな。こっちの家の姉様が、こんなに大っきくなって、嫁御に行ってるぢのだがら。」
「仙台の方さ行って、大変儲けだぢ話聞いだっけ……」
「なあにな。俺もな婆様、ひでえ長患いしてしまって、儲げだ銭どこでなぐ使ってな。」
「ほうお、爺様も患ったのがね。俺もこれ、この大っき孫、嫁にやってがら、こうして床に就いたきりで……」とお婆さんは眼を閉じた。
「それに爺様も亡くなったぢね? こっちの爺様は面白い人でなあ。爺様に、頭の髪さ赤い布片でも縛って、少しの間、廉ぐ売って歩いで見ろ――って言われたごとあったが、俺なあ婆様、そうして見だのしゃ。ほうしたら、売れで売れで、凍り豆腐は、あの爺様のでねえげ駄目だぢ評判で、随分儲げだのだげっとも……長患いして、残した銭も、しっかり使ってしまって、またこうしてこれ……」
弥平爺は、声を低くして哀れっぽい調子に語尾を引いた。
「ほんでも、まだ丈夫になったようですてや。