Classici giapponesi con furigana
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はえおとこ
蠅男
海野 十三
Leggi 蠅男 (はえおとこ) di 海野 十三 (うんのじゅうざ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 118.129 caratteri · 237 schermate
「さあ、このトランクを開けてみましょう」
帆村は主任の許しをえて、持ってきた彼の秘蔵にかかる錠前外しでもって、鍵なしでドンドン錠を外していった。
錠前はすべて外れた。ものの二分と懸らぬうちに――
大川主任は唖然として、帆村の手つきに見惚れていた。
「さあ、トランクを開きますよ」
帆村はトランクの蓋に手をかけるなり、無造作にパッと開いた。「あッ、空っぽや」
「ウム、僕の思ったとおりだッ」大トランクの中は、果然空っぽであった。帆村は、そのトランクの中に頭をさし入れて、底板を綿密にとりしらべてみた。
「ああこんなものがある」
帆村はトランクのなかから、何物かを指先に摘みだした。
それは細いヘヤピンであった。彼はそれをソッと鼻の先へもっていった。
「ああピザンチノだ。南欧の菫草からとれるという有名な高級香水の匂いだ、全く僕の思った通りだ。糸子さんはこの香水をつけている。するとこのトランクに糸子さんが入っていたと推定してもいいだろう。糸子さんはこのトランクのなかに入れられてこのホテルに搬びこまれたのだ」
「えッ、あの糸子はんが――へえ、そら愕いたなア」
大川主任と帳場氏は、互いの顔を見合わせて愕いたのであった。