Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はえおとこ

蠅男

海野 十三

Leggi 蠅男 (はえおとこ) di 海野 十三 (うんのじゅうざ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 118.129 caratteri · 237 schermate

Aozora Bunko

帆村は何を話そうというのだろう。時刻は五分、十分と過ぎてゆき、廊下に佇んで待っている人たちの気をいらだたせた。

すると突然、糸子の金切り声が聞えた。扉がパッと明いて、糸子が寝衣のまま飛び出してきたのだ。

「――帆村はんの、あつかましいのに、うち呆れてしもうた。あんな人やあらへんと思うてたのにほんまにいやらしい人や。さあ、お松。もうこんなところに御厄介になっとることあらへんしい。はよ、うちへいのうやないか」

お松は愕いて、

「まあ、どないしはったんや。えろう御恩になっとる帆村はんに、そんな口を利いては、すみまへんで――」

「御恩やいうたかて、あんないやらしい人から恩をうけとうもない。一刻もこんなところに居るのはいやや。さあ、すぐ帰るしい。お松はよ仕度をしとくれや」

何が糸子を憤らせたのであろうか。あれほど帆村に対し信頼し、帆村に対してかなりの愛着を持っていたと思われる糸子が、何の話かは知らぬが、突然憤って帆村を毛虫のように云いだしたんだから、一座もどうこれを鎮めていいか分らなかった。

糸子たちがズンズン仕度をととのえているのを見ると、さっきから室の片隅にジッと蹲っていた帆村は、黙々として立ち上り、コソコソと廊下づたいに出ていった。