Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ちぬられたかいとう

血ぬられた懐刀

国枝 史郎

Leggi 血ぬられた懐刀 (ちぬられたかいとう) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 35.586 caratteri · 71 schermate

Aozora Bunko

で、境地はひそやかである。

それだけに聚楽の主殿における、夜宴の賑かさが気味悪く聞こえる。

と、卒然と常陸介は云った。

「五右衛門もう一度忍んでくれ」

「もう一度伏見城を探れと云うのか?」

「秀吉の寝首を掻いてくれ」

「…………」

またも沈黙がやって来た。

二人ながら黙っている。

忍び込んだ武士は?

石川五右衛門は浪人であった。学者でもあるし茶人でもあるし、伊賀流の忍もよくするし、侠気もあれば気概もあったが、放浪性に富んでいて、物に飽き易くて辛抱がなくて、則に附くことが出来なかった。二三の大名が才幹を愛して、召しかかえたこともあったけれど、朋輩との中が円満にゆかない。

で、すぐに浪人をした。それを知った木村常陸介は、何かの用に立つこともあろうと、莫大な捨扶持を施して、ここ二三年養って置いた。

すると五右衛門のことである、常陸介を主人と崇むべきを、友人のように思ってしまって、対等の交際をやり出した。

大概の人物なら怒ったであろう、ところが常陸介は大人物であった。そのようなことは意にもかけずに、同じように対等の交際をした。これが五右衛門には嬉しかったらしい。