Classici giapponesi con furigana
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ちぬられたかいとう
血ぬられた懐刀
国枝 史郎
Leggi 血ぬられた懐刀 (ちぬられたかいとう) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 35.586 caratteri · 71 schermate
参れ参れここへ参れ!」
愛妾の死
淫蕩とそうして兇暴の光を、その眼の中へ漂わせながら、こう秀次に呼びかけられて、千浪はいよいよ顫え出した。
「はい」と云ったものの近寄ろうとはしない。あべこべに葛葉の背後へ隠れて、体を縮めるばかりであった。
「何も恐れることはない。取って食おうとは云っていない。可愛がってやろうと云っているのだ。参れ! 厭かな? 厭なことはあるまい」
秀次はヒョロヒョロと立ち上ったが、千浪の方へ歩き出した。
と、そういう様子を見て、血相を変えた女がある。他ならぬ愛妾葛葉の方で、かばうように千浪を蔽うたが、
「許しておやり遊ばしませ。まだこの子はほんの処女で、可哀そうな子にござります」
しかし葛葉の顔にあるものは、決して同情や愛憐ではなくて、むしろ自分の寵愛を、侍女の千浪に横取られることを、恐れて案じているところの、妾らしい嫉妬の情であった。
「ナニ処女、ははあそうか」
秀次はカラカラと笑ったが、
「一層よいの、処女に限る。……其方は幾年だ? 二十九だったかな。年から云っても盛りは過ぎた。もう俺には興味はない。……代りに千浪をよこすがよい」
秀次はなおもヒョロヒョロと進む。