Classici giapponesi con furigana
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ちまんだらしちょうぶし
血曼陀羅紙帳武士
国枝 史郎
Leggi 血曼陀羅紙帳武士 (ちまんだらしちょうぶし) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 88.970 caratteri · 176 schermate
円味の勝った頤につづいて、剥き胡桃のような、肌理の細かな咽喉が、鹿の子の半襟から抜け出している様子は、艶かしくもあれば清らかでもあった。
「もし、お武家様、お気づかれましたか」と娘は云った。
頼母は弱々しく頷いて見せ、そうして、(俺はこの娘に助けられたらしい)と思った。しかしすぐに、紙帳から出て来た武士のことが気にかかった。それで、まだ弛く、自由になりにくい首をやっと廻して、林の方を見た。どんぐりや櫟や柏によって形成られている雑木林には、今は陽があたっていて、初葉さえ附けていない裸体の幹や枝が、紫ばんだ樺色に立ち並んでいたが、紙帳は釣ってなかった。(夜の間に立ち去ったのだな。それにしてもあの武士、何者なのであろう? 突然紙帳の中から出て来て、刀を見せろと云い、見せないといったら、体当たりをくれ、俺を気絶させおった。紙帳を林の中に釣って寝ていたところから察すると、武者修行の者らしいが、着流しで、頭巾を冠っていた様子から推すと、そうでもないらしい)頼母は、頭に残っている疲労の中で、こんなことを考えた。(それにしても、彼と俺との、武技の相違はどうだったろう)これを思うと頼母は、赧くならざるを得なかった。