Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

こうじん

行人

夏目 漱石

Leggi 行人 (こうじん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 224.801 caratteri · 452 schermate

Aozora Bunko

母の叔母というのが、昔し紀州家の奥に勤めていたとか云うので、母は一層感慨の念が深かったのだろう。自分も子供の時、折々耳にした紀州様、紀州様という封建時代の言葉をふと思い出した。

和歌山市を通り越して少し田舎道を走ると、電車はじき和歌の浦へ着いた。抜目のない岡田はかねてから注意して土地で一流の宿屋へ室の注文をしたのだが、あいにく避暑の客が込み合って、眺めの好い座敷が塞がっているとかで、自分達は直に俥を命じて浜手の角を曲った。そうして海を真前に控えた高い三階の上層の一室に入った。

そこは南と西の開いた広い座敷だったが、普請は気の利いた東京の下宿屋ぐらいなもので、品位からいうと大阪の旅館とはてんで比べ物にならなかった。時々大一座でもあった時に使う二階はぶっ通しの大広間で、伽藍堂のような真中に立って、波を打った安畳を眺めると、何となく殺風景な感が起った。

兄はその大広間に仮の仕切として立ててあった六枚折の屏風を黙って見ていた。彼はこういうものに対して、父の薫陶から来た一種の鑑賞力をもっていた。その屏風には妙にべろべろした葉の竹が巧に描かれていた。兄は突然後を向いて「おい二郎」