Classici giapponesi con furigana
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こうじん
行人
Leggi 行人 (こうじん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 224.801 caratteri · 452 schermate
「どうも遠くじゃ話がし悪くっていけない」と云いながら、模様のついた座蒲団を自分の前に置いた。お兼さんだけは依然として元の席を動かなかった。
「二郎さん写真は見たでしょう、この間僕が送った」
写真の主というのは、岡田と同じ会社へ出る若い人であった。この写真が来た時家のものが代りばんこに見て、さまざまの批評を加えたのを、岡田は知らないのである。
「ええちょっと見ました」
「どうです評判は」
「少し御凸額だって云ったものもあります」
お兼さんは笑い出した。自分もおかしくなった。と云うのは、その男の写真を見て、お凸額だと云い始めたものは、実のところ自分だからである。
「お重さんでしょう、そんな悪口をいうのは。あの人の口にかかっちゃ、たいていのものは敵わないからね」
岡田は自分の妹のお重を大変口の悪い女だと思っている。それも彼がお重から、あなたの顔は将棋の駒見たいよと云われてからの事である。
「お重さんに何と云われたって構わないが肝心の当人はどうなんです」
自分は東京を立つとき、母から、貞には無論異存これなくという返事を岡田の方へ出しておいたという事を確めて来たのである。