Classici giapponesi con furigana
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こうじん
行人
Leggi 行人 (こうじん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 224.801 caratteri · 452 schermate
看護婦はAさんが時々跛を引いて便所へ行く様子がおかしいと云って笑った。それから病院の看護婦が時々ガーゼと金盥を持ってAさんの部屋へ入って行くところを見たとも云った。三沢はそういう話に興味があるでもなく、また無いでもないような無愛嬌な顔をして、ただ「ふん」とか「うん」とか答えていた。
彼はまた自分にいつまで大阪にいるつもりかと聞いた。彼は旅行を断念してから、自分の顔を見るとよくこう云った。それが自分には遠慮がましくかつ催促がましく聞こえてかえって厭であった。
「僕の都合で帰ろうと思えばいつでも帰るさ」
「どうかそうしてくれ」
自分は立って窓から真下を見下した。「あの女」はいくら見ていても門の外へ出て来なかった。
「日の当る所へわざわざ出て何をしているんだ」と三沢が聞いた。
「見ているんだ」と自分は答えた。
「何を見ているんだ」と三沢が聞き返した。
十九
自分はそれでも我慢して容易に窓側を離れなかった。つい向うに見える物干に、松だの石榴だのの盆栽が五六鉢並んでいる傍で、島田に結った若い女が、しきりに洗濯ものを竿の先に通していた。自分はちょっとその方を見てはまた下を向いた。