Classici giapponesi con furigana
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こうじん
行人
Leggi 行人 (こうじん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 224.801 caratteri · 452 schermate
それだけなら構わないが、折節はお兼さんの顔を見て笑った。けれどもお兼さんは澄ましていた。お兼さんがちょっと用があって奥へ立った時、岡田はわざと低い声をして、自分の膝を突っつきながら、「なぜあいつに対して、そう改まってるんです。元から知ってる間柄じゃありませんか」と冷笑すような句調で云った。
「好い奥さんになったね。あれなら僕が貰やよかった」
「冗談いっちゃいけない」と云って岡田は一層大きな声を出して笑った。やがて少し真面目になって、「だってあなたはあいつの悪口をお母さんに云ったっていうじゃありませんか」と聞いた。
「なんて」
「岡田も気の毒だ、あんなものを大阪下りまで引っ張って行くなんて。もう少し待っていればおれが相当なのを見つけてやるのにって」
「そりゃ君昔の事ですよ」
こうは答えたようなものの、自分は少し恐縮した。かつちょっと狼狽した。そうして先刻岡田が変な眼遣をして、時々細君の方を見た意味をようやく理解した。
「あの時は僕も母から大変叱られてね。おまえのような書生に何が解るものか。岡田さんの事はお父さんと私とで当人達に都合の好いようにしたんだから、余計な口を利かずに黙って見ておいでなさいって。