Classici giapponesi con furigana
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せいこのしじん
西湖の屍人
海野 十三
Leggi 西湖の屍人 (せいこのしじん) di 海野 十三 (うんのじゅうざ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.487 caratteri · 39 schermate
「シュジュツゴ、ガーゼヲトッテ、テガミヲミヨ」
「手術後、ガーゼを取って、手紙を見よ」この信号は、繰返し発信されたのだった。
口の利けず、耳の聞えない医師は、最後に大きいガーゼをあてて、その周囲を絆創膏で止めると、遂に一語も発しないで、部屋を出ていった。孫も王も、医師を見送るためにこの室から出た。
漢青年にとって、チャンスは今だった。
彼は手を伸ばすと、ガーゼを掴んだ。手を動かす練習をもうすこし遅く始めたのだったら、彼はこのチャンスを、むざむざと逃がしたかも知れないのだ。
ガーゼの中には、果して小さく折った紙片が入っていた。彼は口も使って苦心の結果、その手紙というのを開くことに成功した。そこには、漢青年の脳髄を痺らせるほどの重大なことがらが認めてあった。
「今夜、電燈の消えるのを合図に、天井の硝子板を破って、脱れいでよ」
漢青年は、三度ほど読みかえすと、その紙片を丸めて、ポンと口の内へ入れて、呑みこんだ。
脱走せよ、という者がある。何者とも知れない。しかしこれも「死後の世界」に於ける幻想であろうか。
これが生きているのだったら、軽々しい行動は考えなければならない。