Classici giapponesi con furigana
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ぐとくしんらん
西田幾多郎随筆集
西田 幾多郎
Leggi 西田幾多郎随筆集 (ぐとくしんらん) di 西田 幾多郎 (にしだきたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6908 caratteri · 14 schermate
何とかして忘れたくない、何か記念を残してやりたい、せめて我一生だけは思い出してやりたいというのが親の誠である。昔、君と机を並べてワシントン・アービングの『スケッチブック』を読んだ時、他の心の疵や、苦みはこれを忘れ、これを治せんことを欲するが、独り死別という心の疵は人目をさけてもこれを温め、これを抱かんことを欲するというような語があった、今まことにこの語が思い合されるのである。折にふれ物に感じて思い出すのが、せめてもの慰藉である、死者に対しての心づくしである。この悲は苦痛といえば誠に苦痛であろう、しかし親はこの苦痛の去ることを欲せぬのである。
死にし子顔よかりき、をんな子のためには親をさなくなりぬべしなど、古人もいったように、親の愛はまことに愚痴である、冷静に外より見たならば、たわいない愚痴と思われるであろう、しかし余は今度この人間の愚痴というものの中に、人情の味のあることを悟った。カントがいった如く、物には皆値段がある、独り人間は値段以上である、目的其者である。いかに貴重なる物でも、そはただ人間の手段として貴いのである。世の中に人間ほど貴い者はない、物はこれを償うことが出来るが、いかにつまらぬ人間でも、一のスピリットは他の物を以て償うことは出来ぬ。