Classici giapponesi con furigana
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ちゅうもんちょう
註文帳
泉 鏡花
Leggi 註文帳 (ちゅうもんちょう) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 33.770 caratteri · 67 schermate
お顔色もまだお悪うございますし、御気分がどうかでございますが、雪におあたりなすったのかも知れません。何だか、御大病の前ででもあるように、どこか御様子がお寂しくッて、それにしょんぼりしておいでなさいますよ。
御自分じゃちゃんとしてお在遊ばすのでございましょうけれども、どうやらお心が確じゃないようにお見受申します。
お聞き申しますと悪いことばかり、お宅から召したお腕車は破れたでしょう、松坂屋の前からのは、間違えて飛んだ処へお連れ申しますし、お時計はなくなります。またお気にお懸け遊ばすには及びませんが、お託り下さいましたものも失せますね。それも二度、これも二度、重ね重ね御災難、二度のことは三度とか申します。これから四ツ谷下だりまで、そりゃ十年お傭つけのような確な若いものを二人でも三人でもお跟け申さないでもございませんが、雪や雨の難渋なら、皆が御迷惑を少しずつ分けて頂いて、貴下のお身体に恙のないようにされますけれども、どうも御様子が変でございます。お怪我でもあってはなりません。内へお通いつけのお客様で、お若さんとどんなに御懇意な方でも、ついぞこちらへはいらっしった験のございませんのに、しかもあなた、こういう晩、更けてからおいで遊ばしたのも御介抱を申せという、成田様のおいいつけででもございましょう。