Classici giapponesi con furigana
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ちかいのまき
誓之巻
泉 鏡花
Leggi 誓之巻 (ちかいのまき) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7856 caratteri · 16 schermate
耳が遠くおなんなすったくらい、茫としていらっしゃるのに、悪いことだと小さな声でいうのが遠くに居てよく聞えますもの。
せいせいッてね、痰が咽にからんでますのが、いかにもお苦しそうだから、早く出なくなりますようにと、私も思いますし、病人も痰を咯くのを楽みにしていらっしゃいますがね、果敢ないじゃありませんか、それが、血を咯くより、なお、酷く悪いんですとさ。
それでいてあがるものはというと、牛乳を少しと、鶏卵ばかり。熱が酷うござんすから舌が乾くッて、とおし、水で濡しているんですよ。もうほんとうにあわれなくらいおやせなすって、菊の露でも吸わせてあげたいほど、小さく美しくおなりだけれど、ねえ、新さん、そうしたら身体が消えておしまいなさろうかと思って。」
といいかけて咽泣き、懐より桃色の絹の手巾をば取り出でつつ目を拭いしを膝にのして、怨めしげに瞻りぬ。
「新さん、手巾でね、汗を取ってあげるんですがね、そんなに弱々しくおなんなすった、身体から絞るようじゃありませんか。ほんとに冷々するんですよ。拭くたびにだんだんお顔がねえ、小さくなって、頸ン処が細くなってしまうんですもの、ひどいねえ、私ゃお医者様が、口惜くッてなりません。