Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ゆうかいしゃ

誘拐者

山下 利三郎

Leggi 誘拐者 (ゆうかいしゃ) di 山下 利三郎 (やましたりさぶろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7834 caratteri · 16 schermate

Aozora Bunko

外に未だ誰も這入ません」

椽側から廊下伝いに、離座敷の階下ゆき子の部屋へ導かれた、整然片附られた座敷の正面床の脇に、淋しく立掛られてある琴が、在らぬ主の俤を哀れに偲ばせた、春日は中央でじっと四辺を見廻して後、箪笥の抽出を下の方から順に抜て錠を一つ一つ入念に調べた、それを差し終って、地袋を開くと中に新刊らしい書籍が薄暗の中から金文字を輝かしている。横には、菓子器と歌留多の箱があったので叮嚀に何れも蓋を取て中を検べ、軈てもとのようにすると、押入を開けて本箱の中から数冊の書籍や前年度の日記を撰り出して精密に調べ始めた、其間に渡邊は、此家の見取図を書くべく命ぜられて鉛筆を忙しく走らせる。

善兵衛は不平らしく手持無沙汰に控えた、娘の一身安危の場合に杖とも頼む春日が、機敏に□□市へ急行して呉れると思いの外、愚にもつかぬ方を調べているのに業を煮し、早やその手腕をさえ疑い、眼に軽侮の色を浮べて、せわしく咳払をしはじめた、春日はそんなことに頓着せず押入の隅から、火気のない火鉢を障子の際まで持出し、頻りに灰を掻廻し何やら紙を出して包んだ、そして更に机や手文庫を逐一調べて腑に落ちないか、チェッと舌撃をしたが、突如しゃがむと机の下から座蒲団と共に、皺になった新しい