Classici giapponesi con furigana
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おつきさまのうた
豊島与志雄童話集
豊島 与志雄
Leggi 豊島与志雄童話集 (おつきさまのうた) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 162.569 caratteri · 336 schermate
ねえ、そうしましょうよ」
「だが、君の名前をいっておいていったんだから、君を知ってる人にちがいないし……」
「だってあたし、そんな人、知らないわ。神さまよ、きっと。あたしたちのことをあわれんでくだすってるのよ。そう思ったらいいじゃないの」
「うむ……とにかく、ふしぎだなあ」
マリイの母親は、トニイのようすをじっと見ていましたが、もう疑いがはれたようでした。そしてこれまでのことをお礼をいい、これからのことを相談しました。
トニイは考えこみました。腕をくんで、部屋の中をあるきまわりました。そしてふと、立ち止まりました。
部屋の壁に、一枚の写真がかかっていました。トニイはそれをじっと見つめました。
「これは誰ですか」
「あたしのお父さんよ」とマリイが答えました。
「これが君のお父さん……」
「ええそうよ。二年前に、船が沈んで、なくなったの……。話したでしょう」
マリイがふいにとんできました。
「あんた、あたしのお父さん知ってるの」
「なあに……ちょっと、似てる人があったから……」
「どんな人?」
「いや、なんでもないよ……」
トニイは写真の前からはなれて、また歩きだしました。