Classici giapponesi con furigana
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おつきさまのうた
豊島与志雄童話集
豊島 与志雄
Leggi 豊島与志雄童話集 (おつきさまのうた) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 162.569 caratteri · 336 schermate
けれど、たかい梢の一つの柿は、もうやわらかく熟しながらも、やはりついていました。
私はそれが気がかりになってきました。もうあんなに熟してしまってるのに、いつまでああしてるつもりなんだろう。下におちるかしら。それとも小鳥にくわれるかしら。くわれるとしたら、何の鳥にだろうかしら。
正夫も同じようにそのことを考えていました。
そして私たちは、できるだけその柿を見ていることにしました。下におちるか、どんな鳥にくわれるか、それとも……。
家の庭から、その柿がま正面に見えました。風のあたらない、日のよくさす、暖かい片隅に、腰掛をもちだして、私は正夫に本をよんできかせながら、二人とも時々目をあげて、梢の柿をながめました。青くすみかえった空たかく、柿は赤々とかがやいています……。
その柿と同じような赤い着物を、巡礼の赤ん坊がきていたのです。巡礼というのは、まだ三十歳ばかりの女で、菅笠、手甲、脚絆、笈摺、みなさっぱりしたみなりでしたが、胸に赤ん坊をだいていました。おずおずと庭にはいってきて、静かなひくい声でいいました。
「今晩、どこでもよろしゅうございますから、お宿を、お願い申したいんでございますけれど……」