Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

おつきさまのうた

豊島与志雄童話集

豊島 与志雄

Leggi 豊島与志雄童話集 (おつきさまのうた) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 162.569 caratteri · 336 schermate

Aozora Bunko

「今晩はどうなされたのです」

「今に悲しいことが起こって参ります」と千草姫は答えました。王子はいろいろたずねられましたが、千草姫はどうしてもわけを言いませんでした。ただ「今にわかります」と答えるきりでした。

王子と千草姫とは黙って芝地の上に坐っていました。月の光りが一面に落ちて来て、草の葉や花びらや木の葉をきらきらと輝かしていました。やがて千草姫はほっと溜息をついて言いました。

「もうお目にかかれないかも知れません」

それをきくと、王子は急に悲しくなりました。

「お時間じゃ、お時間じゃ、御殿のしまるお時間じゃ」と、うしろで歌う声が聞こえました。

見ると、いつのまにか矢車草の森の精がうしろに立っていました。それでも王子は帰ろうとされませんでした。けれど千草姫は、むりに王子を慰めて帰らせました。

王子にはどうしても、千草姫に逢えないというわけがわかりませんでした。そして「千草姫は自分の亡くなったお母様ではないかしら」と、ふと思われました。それで、たずねてみようと思ってふり返られると、もう千草姫はそこにいませんでした。

王子は御殿の庭に立ったまま、も一度千草姫に逢わなければならないと決心されました。