Classici giapponesi con furigana
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まずしきひとびとのむれ
貧しき人々の群
宮本 百合子
Leggi 貧しき人々の群 (まずしきひとびとのむれ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 59.959 caratteri · 118 schermate
震えている婆を皆はなだめに掛った。
「何に? 新さん? 水車屋の新さんなんけ?」
彼女は、がっかりしたようにためいきをついた。そしてしばらくだまっていたが、急に顔をしかめると、
「俺らげの善もな行方が知んねえ。そんに、今朝俺らに、どこの奴だか知んねえが、おめえの馬鹿が隣(となん)の村の、沼っぶちとかで妙な風してんのー見たぞと云って来たで……」
と云いながら、ポロポロ涙をこぼした。
死ぬ筈はないから安心しろといくら慰めても、今度はきっと何か変事があったような気がしているからどうぞ死骸だけでも捜してくれと、婆は皆の前へ土下座をするようにしてたのんだ。
「あれの面倒よく見て置きでもしたら、俺ら案じねえ。けれど碌に飯も食わせねえでいただから、俺ら恐ろしい。きっと死んだら俺ら怨んべえ。どうぞ、どうぞ、こげえにねがうもん! 聞いてくんろーよ!」
皆は、やはりこの二三日前からの天気は只事ではなかったと思った。
「一夜のうちに、二人も人間がくたばるたあ、何事だべ」
「解くに解かんねえ前世からの因縁事あ、恐ろしいもんだ」
「まったくおっかねえもんだ。が、俺(おい)らの力じゃどうにもしようがねえだ、南無阿彌陀仏……」