Classici giapponesi con furigana
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あかいらくだ
赤い駱駝
梅崎 春生
Leggi 赤い駱駝 (あかいらくだ) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.820 caratteri · 24 schermate
でもあいつは何も言わず、直ぐ視線を外らして、またしばらく夕焼の方をながめていた。夕焼雲はなにか動物の背中みたいにまるくふくれ上っていた。二見の姿は立ったまま「休め」の形をしているんだが、こんな時でも規定通り両掌を両ももにあてていた。夕焼を背にしてその姿は黒く浮きあがり、撫で肩の不均勢な輪廓が、ふとおれの眼に灼きついた。それは言いようもなく孤独の感じだった。そのままの姿勢で、二見は低い声で言った。
「敵さん、はやくのぼって来ないかな。待ち遠いよ」
「いさましく斬死にするつもりかい」
「いや」二見は頭を反らして惨めな感じの笑い方をした。「面白いだろうと思ってよ」
おれは二見の笑いをあまり見たことがなかったから、変な感じがした。その笑いは妙に年齢の差というものをおれに感じさせた。いつもは力んでいるくせにヘマばかりやる同年者の感じだったが、その時だけは、異質の場所にいる二見という人間をおれは感じたんだ。それが本当はあたり前の感じなんだが、軍隊にいるとそんな神経は鈍くなってしまうもんだ。夕焼が終ると、あいつはその笑いを頬から消して、だまっておれから離れ、唇を噛みしめるように結んで、れいのバタバタした歩き方で洞窟へ戻って行った。