Classici giapponesi con furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Leggi 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.351 caratteri · 43 schermate
うん、と猪之はもじもじしていたが、やがて、度胸を据えたという顔つきで云った。
――嫁に欲しい娘がいるんだ、済まねえがあにきに口をきいてもらいたいんだ。
藤吉は息をしずめてから訊き返した。
――もうその話はきまってるじゃねえか。
――いや、いま初めて頼むんだ。
――梅本のおよのじゃあねえのか。
――もちろんそうじゃねえさ。
藤吉は怒りを押えるのに暇がかかった。
――梅本のおよのはどうするんだ。
――断わっちまうさ、あんなあま、と猪之は唇を曲げた。いまになってみると、どうしてあんな女に惚れこんだかわけがわからねえ、正直のところ自分で自分が訝しいくらいなんだ。
――おい、よく聞け猪之。
――わかってるよ、あにきが怒るだろうってことはわかってるんだ、と猪之はせきこんで云った。ほかの者ならこんなことを頼めやあしねえ、あにきだからこそ、怒られるのを承知で頼むんだ、三度目の正直、こんどこそまちげえのねえ娘なんだから。
藤吉はじっと猪之の眼をみつめた。
――そんな娘がいるのに、どうして水戸へゆこうというんだ。
――それあその、梅本のほうを暫く。
――暫くどうだってんだ。