Classici giapponesi con furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Leggi 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.351 caratteri · 43 schermate
この世の中を渡っちゃあいけねえぞって、……初めてです、生れてからこっち、こんな気持になったのは初めてなんです、あっしはお杉を仕合せにしてやりてえし、きっと仕合せにしてやれると思うんです」
「そう云いきってもいいのか」
「あにきに訊いて下さい、こんなことを口にするのは初めてだし、お杉さえいてくれたら、この気持は金輪際変りゃあしませんから」
そうだろう、と登は思った。
――彼は初めて愛する立場に立った。
これまでは藤吉に庇われ、女たちからさそいかけられた。いつも受身だったのが、こんどはお杉に憐れみを感じ、お杉を仕合せにしてやろうと思い始めた。それは彼が、男として独り立ちになろうとする証拠であろう。登はそう思いながら、それでも念のために釘を刺してみた。
「三度目の正直というところか」
猪之は不審そうに見返した、「なんです、その三度目の正直っていうのは」
「いいよ」と云って、登は微笑しながら立ちあがった、「なんでもない、気にするな――いまの話は新出先生と相談してみる」
「お願いします」猪之は頭をさげ、それから昂然と云った、「断わっておきますが、もしいけねえなんて云われたら、お杉を伴れて逃げますからね、これは威かしじゃあねえ本気なんだから、先生にもどうかそう云っといて下さい」