Classici giapponesi con furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Leggi 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 22.626 caratteri · 45 schermate
四
四
五郎吉の家族は殺鼠剤をのんだのであった。いわみ銀山しかじかの鼠取りといわれるもので、夫婦はどうやら助かるもようだが、末子のいちは死に、登がいってみたときは、他の三児も重態であった。部屋の中は硫黄と物の酸敗したような臭気が充満していて、うっかりするとこっちが嘔吐しそうになった。
「ごめんね」長次は登を認めるとすぐに、ひどくしゃがれた声で、とぎれとぎれに云った、「ごめんね、先生、かんにんしてくんなね」
「なにをあやまるんだ」登は笑ってみせながら云った、「なにも悪いことなんかしてないじゃないか」
長次は喉を詰まらせて、「ぎんなん」とかすかに云った。よく声が出ないらしい、登は少年のほうへ耳を近づけた。銀杏の実をあげると約束したのに嘘をついてしまった、と長次は云った。彼は忘れたのではない、ちゃんと覚えていたのだが、かあちゃんが碾割(麦)を買うのに足りなかったので、ついみんな売ってしまったのだ、という意味のことを云った。
「よせよ、長」と登は首を振り、できるだけ乱暴に云った、「銀杏なんか好きじゃないし、おれはすっかり忘れていたくらいだ、そんなことを気に病むなんて男らしくないぞ」