Classici giapponesi con furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Leggi 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 22.626 caratteri · 45 schermate
それでようやく、五郎吉もおふみも与えられた薬をのんだ。
日が昏れてからまもなく、野原孝庵という医者がみまいに来た。四十がらみの肥えた男で、そこにいる登には構わず、夫婦と長次をざっと診察し、渋い顔をしながら帰っていった。まもなく差配の卯兵衛が、「晩めしをあがって下さい」と迎えに来た。登も空腹になっていたので、手伝いに来ている近所の女房たちにあとを頼み、卯兵衛といっしょに彼の家へいった。麦飯に、煮魚と味噌汁、香の物という食事であった。卯兵衛もいっしょに喰べながら、その日の出来事を語った。
朝の七時ころ、五郎吉は妻子を伴れて、「浅草寺へ参詣にいって来る」と断わり、戸閉まりをして出ていった。べつに変ったようすはなかった。そもそも家族そろって浅草へいく、ということが常にないことなので、なにか変ったようすがあったとしても、近所の人たちが気づかなかったのは当然であろう。
「浅草へいくと云ったのは嘘で、すぐに戻って来たんですな」と卯兵衛は云った、「戻って来たのも、うちへはいったのも見た者はありません、両隣りの者も知らなかったんですが、そのじぶんは井戸端が賑やかで、うちにいる者は少ないもんですから、そのつもりになれば、人の眼につかずにうちへはいるのもそうむずかしいことじゃありません」