Classici giapponesi con furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Leggi 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 22.626 caratteri · 45 schermate
それから約十五年、市中は云うまでもなく、朱引き外まで、品物を担いで根気よくしょうばいして歩いた。十五年というとしつき、ただもう「根気」一つにしがみついて稼いだが、三人生れた子の上二人が、一人は五つ、一人は四つで死に、おみきの産後が悪かったりというぐあいで、いまだにこの長屋から出ることができなかった。――ところがつい七日ばかりまえ、娘のおとめを伴れて銭湯へいったところ、そこで急におかしくなってしまった。おとめを裸にさせ、いっしょに流し場へはいってゆくと、おとめが足を滑らせて転んだ。そのとたんに十兵衛は、脇で躯を洗っていた男を殴りつけた。男を殴りつけておいて、娘を抱き起こしながら、十兵衛はおちついた声でおとめに云った。
――それみろ、おまえ転んだりするから、よそのおじさんが心配するじゃないか、気をつけて歩きな。
そのようすがあんまりおかしいので、殴られた男は怒ることも忘れ、あっけにとられて眺めていたという。そして銭湯から帰ると、一尺四方ばかりの板きれを捜しだし、勝手から目笊を持って来て、部屋の隅の鴨居のところへ板を渡し、その上へ目笊を伏せて、坐りこんだ。