Classici giapponesi con furigana
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あかごうしくろうえもんのむすめ
赤格子九郎右衛門の娘
国枝 史郎
Leggi 赤格子九郎右衛門の娘 (あかごうしくろうえもんのむすめ) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 16.174 caratteri · 33 schermate
とお菊は吹き出した。
「この寝顔のだらしなさ。昔の奉行が聞いて呆れるよ」
塩田の忠蔵身の上話
コツコツコツコツと部屋の襖を窃と指で打つ者がある。
「忠さんかえ、お入りよ」……お菊は云いながら襖をあけた。
入って来たのは忠蔵である。
「姐御、首尾は? と云う所だが、首尾はいいに定まっている。……さあソロソロ出かけやしょうぜ」
「あいよ」と云いながら立膝をして、煙草をパクパク吹かしている。
「忠さん、妾ゃア思うんだよ。まるで鱶のような鼾をかいて、他愛なく寝ているこの爺さんが、十五年前はお町奉行でさ、長門守と任官し、稼人達に恐れられ、赤格子と異名を取ったほどの妾の父さん九郎右衛門殿を、千日前で首にしたとは、どっちから見たって見えないじゃないか、……今じゃ罪も憎気もない髯だらけの爺さんだよ」
「全く人間年を取ってはからしき駄目でござんすね」
「生命を狙う仇敵とも知らず、この日頃からこの妾をまアどんなに可愛がるだろう」
「うへえ、姐御、惚気ですかい」
「と云う訳でもないんだがね、今も今とてこの毒薬を薄々感付いて居りながら、妾がふっと怒って見せたら笑って機嫌よく飲んだものだよ」