Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
ちょうかきんむ
超過勤務
山本 周五郎
Leggi 超過勤務 (ちょうかきんむ) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 15.619 caratteri · 31 schermate
ものだ、――堀田きよか、もう三十四五年もむかしのことだが、いまでもこの名だけは忘れない、顔の小さな、きりっとしまった躯つきで、――その後もあんなきれいな女の子は見たことがなかった、あのころは規則がきびしくて、店員同士の恋愛沙汰は厳重に禁じられていた、うわさをたてられただけでもくびになりかねなかったものだ」
彼のペンは動かなくなった、「おれは二十二か三だったな、あの人恋しさに仕事も手につかず、一日のうち幾たびも、あの人の立っている売場の前をいったり来たりした、あの人がおれのほうを見たりすると、全身がかあーっとして眼がくらむような気がしたっけ、――それでもなにをする勇気もなかった、ほかの者は適当にやっていたんだ、規則がきびしければきびしいほど、それをやぶりたくなるのが人情なんだろう、そのためにくびになった者もあるが、うまくたちまわって結婚したやつも少なくない、やろうと思えばできたんだ、それをおれはやらなかった、死ぬほど恋していながら、話しかけることさえできず、胸のつぶれるようなおもいで、遠くから眺めているだけだった、そうだ、――おれはそのころから欠かさず残業をした、残業手当はうちの家計になくてはならない