Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぐんこくかようしゅう

軍国歌謡集

山川 方夫

Leggi 軍国歌謡集 (ぐんこくかようしゅう) di 山川 方夫 (やまかわまさお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 39.655 caratteri · 80 schermate

Aozora Bunko

すばらしい。じつにすばらしい。愛だ。ほんものの愛だ。……」

大チャンは、そして急に黙りこんだ。沈黙がつづいていた。私は目をこすって彼をながめた。古い仏像のような笑いを頬にうかべたまま、彼はぐったりと肩を落し、唇から涎を垂らしていた。だらしなく口がひらき、その涎の筋が、光りながらヨーヨーの糸のように伸びたり縮んだりしている。目が、放心したように遠くをみつめている。

そのまま、なにもいわなかった。私はすこし怖くなった。

「ああ、世界が私ひとりの中にあつまってきたみたいだ」と、やがて彼はいった。「……どうです? 相撲をとりませんか?」

でも、ベロベロに酔っぱらった私は、彼を見ているだけがやっとで、立ち上ることさえおぼつかない。大チャンは歓喜の表現の手段がなく、太短い脚を組むと、「ああ、ああ」と呻きながら、酒を飲みはじめた。

「ああ。まるで、全身が傷口になって、そこにアルコールをぶっかけて火をつけたような気持ちですよ」と、彼はぐいぐいと酒をあおりながらいった。「私は火だ。火ダルマです。一つの巨大な痛みとなって燃える光だ。燈台だ。そうだ、あの人は、その燈台の光のとどく夜の沖に、やっと姿をあらわしたただ一隻の船だ。