Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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てんき

転機

伊藤 野枝

Leggi 転機 (てんき) di 伊藤 野枝 (いとうのえ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 33.656 caratteri · 67 schermate

Aozora Bunko

あのTという爺さんがまた非常に人が好いんだよ。それにもう死ぬ少し前なんかにはすっかり耄碌して意気地がなくなって、僕なんか会ってても厭になっちゃったがね。少し同情するようなことをいう人があるとすっかり信じてしまうんだよ。それでずいぶんいい加減に担がれたんだろう。」

「そうですってね。でも、死ぬ時には村の人にそういってたじゃありませんか。誰も他をあてにしちゃいけないって。しまいにはこりたんでしょうね。」

「そりゃそうだろう。」

「だけど、人間の同情なんてものは、全く長続きはしないものなのね。もっとも各自に自分の生活の方が忙しいから仕方はないけれど。でも、この土地だって、そのくらいにみんなの同情が集まっている時に、何とか思い切った方法をとっていれば、どうにか途はついたのかもしれないのね。」

「ああ、これでやはり時機というものは大切なもんだよ。ここだってむしろ旗をたてて騒いだ時に、その勢でもっと思い切って一気にやってしまわなかったのは嘘だよ。こう長引いちゃ、どうしたって、こういう最後になることは解り切っているのだからね。」

けれどとにかく世間で問題にして騒いだ時には、多くの人に涙をわかされた土地なのに、それが何故に何の効果も見せずに、こうした結末に来たのだろう? よそ事としての同情なら続くはずもないかもしれない。