Classici giapponesi con furigana
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きんせいかいじんでん
近世快人伝
夢野 久作
Leggi 近世快人伝 (きんせいかいじんでん) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 79.469 caratteri · 157 schermate
頭山満翁はさながらに逸話を作りに生まれて来たようなもので、その奇行快動ぶりといったら天下周知の事実と云っても憚らない位である。
しかし仔細に点検して来ると、その鬼神も端倪すべからざる痛快的逸話の中にも牢乎として動かすべからざる翁一流の信念、天性の一貫しているところを明白に認める事が出来る。
すなわち翁の行動には智力を用いた形跡がない。何でも行きなりバッタリの無造作、無鉄砲を以て押通して行くところに、翁の真面目が溢るるばかりに流露している。そうしてその真面目が、日常茶飯事に対しては意表に出づる逸話となり、国事に触れては鉄壁を砕く狂瀾怒濤となって行くもののようである。
蛇は寸にして蛇を呑む。翁が十歳ばかりの年の冬に家人から十銭玉を一個握らせられて、蒟蒻買いに遣られた。その頃の蒟蒻は一個二厘、三厘の時代であったから、定めし十個か二十個買って来いという家人の註文であったろう。
ところが十幾歳の頭山満は蒟蒻屋の店先に立つと黙って十銭玉を一個投出したので、店の主人は驚いた。
「これだけミンナ蒟蒻をば買いなさるとな」
翁は簡単にうなずいた。
蒟蒻屋の主人は蒟蒻を山のように数えて、翁の前に持って来た。