Classici giapponesi con furigana
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きんせいかいじんでん
近世快人伝
夢野 久作
Leggi 近世快人伝 (きんせいかいじんでん) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 79.469 caratteri · 157 schermate
黒羽二重五つ紋に仙台平か何かの風采堂々と、二人を眼下に見下して、
「ヤア。お待たせしました」
と云いながら真正面の座布団に坐り込んだが、火鉢の縁へ手を載せたトタンにヒイヤリとしたので、ちょっと驚いたらしく掌を見ると、白い柔らかい、平べったい、豆腐の破片みたようなものが手の平へ二三枚ヘバリ付いている。嗅いでみると異様なたまらない臭いがする。菊地市長いよいよ驚いたらしく背後をかえりみて女中を呼んだ。
「オイオイ。この火鉢の縁の……コ……コレは何だ」
女中が真青に面喰った。ちょっと見たところ、正体がわからないし、自分が並べたおぼえがないので、返事に窮していると頭山先生が静かに口を開いた。
「それは僕の尻から出たサナダ虫をば並べたとたい」
菊地市長は「ウワアッ」と叫んで襖の蔭に転がり込んで行ったが、それっ切り出て来なかった。
二人は仕方なしに市長官舎を辞したが、門を出ると間もなく正直者の進藤喜平太氏が、
「折角会えたのに惜しい事をした」
とつぶやいた。頭山先生は又も股倉へ手を突込みながら、
「フフン。あいつは詰らん奴じゃ」
まだある。
これは少々グロを通り越しているが、頭山翁の真面目を百パーセントに発揮している話だから紹介する。