Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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さけのついおく

酒の追憶

太宰 治

Leggi 酒の追憶 (さけのついおく) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6870 caratteri · 14 schermate

Aozora Bunko

甚だしきに到っては、ビイルを二本くらい持参して、まずそれを飲み、とても足りっこ無いんだから、主人のほうから何か飲み物を釣り出すという所謂、海老鯛式の作法さえ時たま行われているのである。

とにかく私にとって、そのような優雅な礼儀正しい酒客の来訪は、はじめてであった。

「なあんだ、そんなら一緒に今夜、全部飲んでしまいましょう。」

私はその夜、実にたのしかった。丸山君は、いま日本で自分の信頼しているひとは、あなただけなんだから、これからも附合ってくれ、と言い、私は見っともないくらいそりかえって、いい気持になり、調子に乗って誰彼を大声で罵倒しはじめ、おとなしい丸山君は少しく閉口の気味になったようで、

「では、きょうはこれくらいにして、おいとまします。」

と言った。

「いや、いけません。ウイスキイがまだ少し残っている。」

「いや、それは残して置きなさい。あとで残っているのに気が附いた時には、また、わるくないものですよ。」

苦労人らしい口調で言った。

私は丸山君を吉祥寺駅まで送って行って、帰途、公園の森の中に迷い込み、杉の大木に鼻を、イヤというほど強く衝突させてしまった。