Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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のわき

野分

山本 周五郎

Leggi 野分 (のわき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.401 caratteri · 42 schermate

Aozora Bunko

「戸沢様の跡継ぎですって」お紋にはわけのわからない言葉だった、「……それは誰のことなの、まさかあの方では」

「あの方だわ、能登守さまの本当のお子で、色いろなゆくたてから、どうしてもお世継ぎに直らなければならなくなったんでしょう、六万石のお大名ですもの、幾らあんなにうちこんでいらしったって、奥方と呼ばせることはできないわよ、正式にはよそから奥方を迎えなければならない、でもそれは表向きのことで、心から妻と呼ぶのはお紋ちゃんひとり、生涯変るまいとまで仰しゃったというわ」

「あの方が」お紋はさっと蒼くなった、そしてぶるぶるとおののきながら、こう呟いた、「……若さまが」

「あんたがいなくなってから、もしかして戻って来はしないか、ゆく先が知れはしないかって、若さまはよくお忍びで蔦萬へいらっしゃった、そしてあんたが戻りもせず居どころもわからないと聞くと、お気の毒なほどがっかりなすって、時には悪酔いをなさるほど召上って、あんたのことをみれんなほど恋しがっていらっしゃったわ、お琴さんだっておよんちゃんだって、みんな泣かされないことはなかったのよ」

そんなことがあるだろうか、藤七の話とは表と裏ほど違う、もしそれが本当なら、お祖父さんがあんな悲しいことを云う筈がない。