Classici giapponesi con furigana
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のわき
野分
Leggi 野分 (のわき) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 93.508 caratteri · 189 schermate
「おお、厭だ」と眉をあつめる。艶なる人の眉をあつめたるは愛嬌に醋をかけたようなものである。甘き恋に酔い過ぎたる男は折々のこの酸味に舌を打つ。
濃くひける新月の寄り合いて、互に頭を擡げたる、うねりの下に、朧に見ゆる情けの波のかがやきを男はひたすらに打ち守る。
「奥さんはどうしたでしょう」女を憐むものは女である。
「奥さんは病気になって、病院に這入るのです」
「癒るのですか」
「そうさ。そこまでは覚えていない。どうしたっけかな」
「癒らない法はないでしょう。罪も何もないのに」
薄きにもかかわらず豊なる下唇はぷりぷりと動いた。男は女の不平を愚かなりとは思わず、情け深しと興がる。二人の世界は愛の世界である。愛はもっとも真面目なる遊戯である。遊戯なるが故に絶体絶命の時には必ず姿を隠す。愛に戯むるる余裕のある人は至幸である。
愛は真面目である。真面目であるから深い。同時に愛は遊戯である。遊戯であるから浮いている。深くして浮いているものは水底の藻と青年の愛である。
「ハハハハ心配なさらんでもいいです。奥さんはきっと癒ります」と男はメリメに相談もせず受合った。
愛は迷である。