Classici giapponesi con furigana
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のわき
野分
Leggi 野分 (のわき) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 93.508 caratteri · 189 schermate
一たびこの差別を立したる時吾人は一の迷路に入る。ただ生存は人生の目的なるが故に、生存に便宜なるこの迷路は入る事いよいよ深くして出ずる事いよいよかたきを感ず。独り生存の欲を一刻たりとも擺脱したるときにこの迷は破る事が出来る。高柳君はこの欲を刹那も除去し得ざる男である。したがって主客を方寸に一致せしむる事のできがたき男である。主は主、客は客としてどこまでも膠着するが故に、一たび優勢なる客に逢うとき、八方より無形の太刀を揮って、打ちのめさるるがごとき心地がする。高柳君はこの園遊会において孤軍重囲のうちに陥ったのである。
蹌踉としてアーチを潜った高柳君はまた蹌踉としてアーチを出ざるを得ぬ。遠くから振り返って見ると青い杉の環の奥の方に天幕が小さく映って、幕のなかから、奇麗な着物がかたまってあらわれて来た。あのなかに若い夫婦も交ってるのであろう。
夫婦の方では高柳をさがしている。
「時に高柳はどうしたろう。御前あれから逢ったかい」
「いいえ。あなたは」
「おれは逢わない」
「もう御帰りになったんでしょうか」
「そうさ、――しかし帰るなら、ちっとは帰る前に傍へ来て話でもしそうなものだ」