Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
のわき
野分
Leggi 野分 (のわき) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 93.508 caratteri · 189 schermate
減らないところで見るとほかの旦那様は旦那様らしくしているに違ない。広い世界に自分一人がこんな思をしているかと気がつくと生涯の不幸である。どうせ嫁に来たからには出る訳には行かぬ。しかし連れ添う夫がこんなでは、臨終まで本当の妻と云う心持ちが起らぬ。これはどうかせねばならぬ。どうにかして夫を自分の考え通りの夫にしなくては生きている甲斐がない。――細君はこう思案しながら、火鉢をいじくっている。風が枯芭蕉を吹き倒すほど鳴る。
表に案内がある。寒そうな顔を玄関の障子から出すと、道也の兄が立っている。細君は「おや」と云った。
道也の兄は会社の役員である。その会社の社長は中野君のおやじである。長い二重廻しを玄関へ脱いで座敷へ這入ってくる。
「だいぶ吹きますね」と薄い更紗の上へ坐って抜け上がった額を逆に撫でる。
「御寒いのによく」
「ええ、今日は社の方が早く引けたものだから……」
「今御帰り掛けですか」
「いえ、いったんうちへ帰ってね。それから出直して来ました。どうも洋服だと坐ってるのが窮屈で……」
兄は糸織の小袖に鉄御納戸の博多の羽織を着ている。
「今日は――留守ですか」
「はあ、たった今しがた出ました。