Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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のわき

野分

夏目 漱石

Leggi 野分 (のわき) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 93.508 caratteri · 189 schermate

Aozora Bunko

だから療養かたがた気が向いた時に続きをかくさ。そうして身体がよくなって、作が出来上ったら帰ってくる。僕は費用を担任した代り君に一大傑作を世間へ出して貰う。どうだい。それなら僕の主意も立ち、君の望も叶う。一挙両得じゃないか」

高柳君は膝頭を見詰めて考えていた。

「僕が君の所へ、僕の作を持って行けば、僕の君に対する責任は済む訳なんだね」

「そうさ。同時に君が天下に対する責任の一分が済むようになるのさ」

「じゃ、金を貰おう。貰いっ放しに死んでしまうかも知れないが――いいや、まあ、死ぬまで書いて見よう――死ぬまで書いたら書けない事もなかろう」

「死ぬまでかいちゃ大変だ。暖かい相州辺へ行って気を楽にして、時々一頁二頁ずつ書く――僕の条件に期限はないんだぜ、君」

「うん、よしきっと書いて持って行く。君の金を使って茫然としていちゃ済まない」

「そんな済むの済まないのと考えてちゃいけない」

「うん、よし分った。ともかくも転地しよう。明日から行こう」

「だいぶ早いな。早い方がいいだろう。いくら早くっても構わない。用意はちゃんと出来てるんだから」と懐中から七子の三折れの紙入を出して、中から一束の紙幣をつかみ出す。