Classici giapponesi con furigana
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かわぐちこ
野菊の墓他六篇
伊藤 左千夫
Leggi 野菊の墓他六篇 (かわぐちこ) di 伊藤 左千夫 (いとうさちお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 30.105 caratteri · 61 schermate
健全無垢な社会の後継者を八人も育てつつある僕らに対して、社会が何らの敬意も払わぬとは不都合だ。しかしまた、たとえ社会が僕らに対して何らの敬意を払わないにしても、事実において多くの社会後継者を養いつつあるのだから、ずいぶんいばってもよいだろう……。
そんな調子に前夜は空気炎をはいておおいに来客をへこませ、すこぶる元気よく寝についた僕も、けさは思いがけない「またへんですよ」の一言に血液のあたたかみもにわかに消えたような心地になってしまった。例のごとく楊枝を使って頭を洗うたのも夢心地であった。
門前に立ってみると、北東風がうす寒く、すぐにも降ってきそうな空際だ。日清紡績の大煙突からは、いまさらのごとくみなぎり出した黒煙が、深川の空をおおうて一文字にたなびく。壮観にはちがいないが不愉快な感じもする。
多く社会の後継者をつくるということは、最も高い理想には相違なきも、子多くして親のやせるのも生物の真理だ。僕はこんなことを考えながら、台所へもどった。
親子九人でとりかこむ食卓は、ただ雑然として列も順序もない。だれの碗だれの箸という差別もない。大きい子は小さい子の世話をする。