Classici giapponesi con furigana
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ななこ
野菊の墓
伊藤 左千夫
Leggi 野菊の墓 (ななこ) di 伊藤 左千夫 (いとうさちお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 71.271 caratteri · 144 schermate
兄夫婦は口小言を言いつつ、手足は少しも休めない。仕事の習い始めは随分つらいもんだという察しがあるならば、少しは思いやってくれてもよさそうなものと思っても、兄や姉には口答えもできない、母に口答えするように兄や姉に口答えしたらたいへんが起こる。どこの家でもそうとはきまっていないが、親子と兄弟とは非常に感じの違うものである。兄には妻がありかつ年をとっている兄であるといよいよむずかしい。ことに省作の家は昔から家族のむずかしい習慣がある。
省作はだまって鎌をとぐ用意にかかる。兄はきまった癖で口小言を言いつつ、大きな箕で倉からずんずん籾を庭に運ぶ。あとから姉がその籾を広げて回る。満蔵は庭の隅から隅まで、藁シブを敷いてその上に蓆を並べる。これに籾を干すのである。六十枚ほど敷かれる庭ももはや六分通り籾を広げてしまった。
省作は手水鉢へ水を持ってきて、軒口の敷居に腰を掛けつつ片肌脱ぎで、ごしごしごしごし鎌をとぐのである。省作は百姓の子でも、妙な趣味を持ってる男だ。
森の木陰から朝日がさし込んできた。始めは障子の紙へ、ごくうっすらほんのりと影がさす。物の影もその形がはっきりとしない。