Classici giapponesi con furigana
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ななこ
野菊の墓
伊藤 左千夫
Leggi 野菊の墓 (ななこ) di 伊藤 左千夫 (いとうさちお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 71.271 caratteri · 144 schermate
「省作さんにおごらねけりゃなんねい事があるたアこりゃおもしれい。満蔵君早く話したまえ。省作さんもおごるならまたそのように用意が入るから」
政さんに促されて満蔵は重い口を切った。
「おとよさアが省作さアに惚れてる」
「さアいよいよおもしれい。どういう証拠を見た、満蔵さん。省作さんもこうなっちゃおごんなけりゃなんねいな」
口軽な政さんはさもおもしろそうに相言をとる。
「満蔵何をぬかすだい」
省作はそうは言ったものの不思議と顔がほてり出した。満蔵はとんだことを言い出して困ったと思うような顔つきで、
「昨日の稲刈りでおとよさアは、ないしょで省作さアのスガイ一把すけた。おれちゃんと見たもの。おとよさアは省作さアのわき離れねいだもの。惚れてるに違いねい」
おはまは目をぎろっとして満蔵を見た。省作はもう顔赤くして、
「うそだうそだ。そらおとよさんはおれがあんまり稲刈りが弱いから、ないしょで助けてくれたには相違ないけど、そりゃおとよさんの親切だよ。何も惚れたのどうのってい事はありゃしない。ばか満め何をいうんだえ」
省作も一生懸命弁解はしたものの何となしきまりが悪い。のみならずあるいはおとよさんにそんな心があるのかとも思われるから、いよいよ顔がほてって胸が鳴ってきた。