Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ななこ

野菊の墓

伊藤 左千夫

Leggi 野菊の墓 (ななこ) di 伊藤 左千夫 (いとうさちお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 71.271 caratteri · 144 schermate

Aozora Bunko

満蔵はそれ以上を言う働きはないから急いで米を搗きだす。政さんはいよいよ興がって、

「こりゃわかんねい。そこまで満蔵さんに見られちゃア、とにかく省作さんはおごるが至当だっぺい。うん人の女房だって何だって、女に惚れられっちは安くない、省作さん……」

兄はまさかそんな話の仲間にもなれないだろう、むずかしい顔をしている。政さんは兄の顔に気がついて、言いだした話を引っ込ませかける。突然囲炉裏ばたの障子があいて母が顔を出した。

「満蔵」

「はあ」

「お前、今おとよさんの事を言ったねい」

「はあ」

満蔵はもうたいへんな事になったと思ってか、色青くして目がはや潤んでる。

「お前どんなことを見たかしんねいが、おとよさんはお前隣の嫁だろ。家の省作だってこれから売る体じゃないか。戯言に事欠いて、人の体さ疵のつくような事いうもんじゃない。わしが頼むからこれからそんな事はいわないでくろ」

「はア」

満蔵はもう恐れ入ってしまって、申しわけも出ない。正直な満蔵は真から飛んだ事を言ってしまったとの後悔が、隠れなく顔にあらわれる。満蔵が正直あふれた無言の謝罪には、母もその上しかりようないが、なお母は政さんにもそれと響くよう満蔵に強く念を押す。