Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ななこ

野菊の墓

伊藤 左千夫

Leggi 野菊の墓 (ななこ) di 伊藤 左千夫 (いとうさちお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 71.271 caratteri · 144 schermate

Aozora Bunko

おんもといい、あっこといい、おっちゃんといったその悲しい声は永遠に父の耳を離れてしまった。

この日の薄暮ごろに奈々子の身には不測の禍があった。そうして父は奈々子がこの世を去る数時間以前奈々子に別れてしまった。しかも奈々子も父も家におって……。いつもならば、家におればわずかの間見えなくとも、必ず子どもはどうしたと尋ねるのが常であるのに、その日の午後は、どういうものか数時間の間子どもをたずねなかった。あとから思うと闇の夜に顔も見得ず別れてしまったような気がしてならない。

一つの乳牛に消化不良なのがあって、今井獣医の来たのは井戸ばたに夕日の影の薄いころであった。自分は今井とともに牛を見て、牧夫に投薬の方法など示した後、今井獣医が何か見せたい物があるからといわるるままに、今井の宅にうち連れてゆくことにした。自分が牛舎の流しを出て台所へあがり奥へ通ったうちに梅子とお手伝いは夕食のしたくにせわしく、雪子もお児もうろうろ遊んでいた、民子も秋子もぶらんこに遊んでいた。ただ奈々子の姿が見えなかった。それでも自分はあえて怪しみもせず、今井とともに門を出た。今井の宅は十二、三分間でゆかれる所である。