Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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のはぎ

野萩

久生 十蘭

Leggi 野萩 (のはぎ) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.480 caratteri · 21 schermate

Aozora Bunko

船の中でも、いろいろともう……」

安はニコニコ笑いながら、二人の話を聞いていたが、だしぬけに、

「あなたさま、いぜんから、伊作をごぞんじでいらっしゃいましたか」

とたずねた。杜松は瞼をふっくらさせて、

「いいえ、そのときがはじめて」

「そうでしたか、それはそれは……ほんとうに、ふしぎなご縁で」

滋子は笑って、

「ふしぎなご縁とはまた、旧式なことね」

「でも、知らない同士が、キャンプで知りあうなんてのは、よくせきな縁よ。戦争がなかったら、死ぬまで、逢わずにしまったかもしれないんだから」

幹さんとおっしゃる方にお電話、と女中がいいにきた。

「ええ、幹はあたくし」

杜松が立って行くと、安は滋子のそばへいざりよって、

「滋さん、あなた気がついて?」

鹿のような濡れた大きな眼で滋子の顔を見つめながら、

「杜松さんって、あたしの孫なのよ」

と、ささやくようにいった。滋子は呆れて、安の顔を見かえしながら、

「いったい、なにをいいだすつもりなの」

安は、急に幅のあるようすになって、

「伊作の娘なら、あたしにとっては孫でしょう、そうじゃなくって?」

滋子は、押しまくられて、たじたじになりながら、