Classici giapponesi con furigana
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きんぎょはしんでいた
金魚は死んでいた
大下 宇陀児
Leggi 金魚は死んでいた (きんぎょはしんでいた) di 大下 宇陀児 (おおしたうだる) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.514 caratteri · 22 schermate
しらべると、びんに半分ほど残つたウィスキイに青酸加里が混入してあつた。だから老人は、それを一口か、せいぜい二口飲むと苦しくなり、金魚鉢のそばまで這つて行つて死んだのにちがいない。犯人はウィスキイの相手をしていたが、むろん、自分は飲まずに老人にだけ飲ませた。そして、老人の死んだのを見とどけてから、自分の盃のウィスキイをびんに戻し、かつ指紋をぬぐいとつておいて、悠々と……もしくはいそいで、この場を立去つたのである。
係官たちは、捜査に専念しだした。
屋内はべつに取乱されず、犯人が何かを物色したという形跡もないから、盗賊の所為ではないらしく、従つて殺人の動機は、怨恨痴情などだろうという推定がついたが、さて現場では、とくに目星しい発見は何もない。
この時、またおかしかつたのは例の平松刑事が、相変らず金魚のことを気にしていたことである。よほどの金魚好きにちがいない。彼は、死んだ金魚が三匹で一万円はしたろうということや、自分は月給が少なく、とてもあんなのは買えないということを、くりかえし同僚に話したし、また事件発見者島本医学士にまで、同じことをいつた。
「私は、女より金魚の方が美しいと思うんですよ。