Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きんぽうさいき

金鳳釵記

田中 貢太郎

Leggi 金鳳釵記 (きんぽうさいき) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6167 caratteri · 13 schermate

Aozora Bunko

「そんなばかばかしいことがあるものか、あんたはどうかしておる、女は奥で寝ておる」

「でも舟におります」

こう言って興哥は体を起した。防禦は傍に立っている取次を見た。

「船著場へ何人かやって、調べてこい」

取次は引込んで往ったが、間もなく出てきた。

「どうだ、調べさしたか」

「調べましたが、どの舟にもお嬢様の姿は見えないそうです、まさかそんなことはないでしょう」

「そうとも、慶娘は家におる、夢でも見ていなければ、何か為にすることがあって、そんな事を言ってるだろう」

防禦は怒ってしまった。興哥は女が証拠にと渡した釵の事を思い出した。

「決して私は嘘は申しません、嘘でない証拠には、これを御覧なすってください」

興哥は懐から釵を出して起ちあがった。防禦はそれを手に取って見た。

「これは興娘を葬った時に、棺の中へ入れたものだ、この釵はあんたの家から、許嫁の証に贈ってきたものじゃ、これがどうしてあんたの手に入ったろう」

防禦は考え込んだ。興哥も不思議でたまらないから防禦の考え込んだ顔へ目をやった。

若い女がつかつかと来た。防禦は顔をあげた。今まで奥の室に寝ていた病人の慶娘であった。