Classici giapponesi con furigana
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くぎぬきとうきちとりものおぼえがき
釘抜藤吉捕物覚書
林 不忘
Leggi 釘抜藤吉捕物覚書 (くぎぬきとうきちとりものおぼえがき) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.251 caratteri · 39 schermate
それきり眼を閉じて、高座へはすこしの注意も払っていない様子だった。どうせ例の気まぐれだろうが、それにしても、何のためにわざわざ傘をさして寄席へでかけて来たのか、さっぱりわからないと彦兵衛は思った。
気のせいか、今夜は別して、いまにも何か変ったことが起りそうに、藤吉親分が緊張して見えるのだった。ふだん赭黒い顔が蒼く締まって死人のように、澄んで、沈んでいた。白髪まじりの細い髻を載せた、横へ広い大きな頭部を振って、黄色い、骨だらけの手で、じゃりじゃり音をさせて角張った顔の無精髯を撫で廻している。金壺眼、行儀の悪い鼻、釘抜のようにがっしり飛び出た頬骨、無愛想にへの字を作っている口、今に始まったことではないが、どう見てもあんまり人好きのする容貌ではなかった。
「日の本は、岩戸かぐらの昔より、女ならでは夜の明けぬ国。」高座から、円枝の声が流れて来ている。「お色気のみなもとはてえと、御婦人だそうでげして――。」
藤吉は、眼をひらいた。眇を光らせて、周囲の人々を見た。苦笑とも欠伸ともつかず、口をあけた。煙草で染まった大きな乱杭歯が見える。
思い切ったように、とむらい彦兵衛が、