Classici giapponesi con furigana
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くぎぬきとうきちとりものおぼえがき
釘抜藤吉捕物覚書
林 不忘
Leggi 釘抜藤吉捕物覚書 (くぎぬきとうきちとりものおぼえがき) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.085 caratteri · 21 schermate
与惣次はこの小物師であった。
今のさき、湯帰りの勘次がこの与惣次の家の前を通ると、神田の小太郎がしきりに雨戸を叩いている。立話しながら訊いてみると、明日の王子神社の槍祭を当て込み、今日の暮方に発足して夜通し徒歩ろうという約束があって、仲間同士のよしみから廻り道して誘いに寄ったという。見ると板戸は閉切ってあるものの内側から心張がかかっている様子がまんざら無人とは思われない。朝ならともかく午下りも老いたころ、ついぞないことなばかりか、用意洩れなく準えて待ち受けていべきはずの与惣次が――? 小太郎は首を捻って、勘次ともどもまた激しく戸を打ったが、何の応えもない。業を煮やした小太郎は舌打ちして行ってしまった。ただこれだけの事件ではあるが、いそうで開けないのを不審と白眼めば臭くもある。
「ついそこだ、親分、ちょっと出張って検てやっておくんなせえ。あっしゃやに気になってね、どういうもんだかいても立ってもいられねえんだ。」
「莫迦っ。」藤吉が呶鳴った。「寝込んででもいるべえさ。が、奴、待てよ。」と思い返したらしく、
「どこでも叩きゃあちったあ埃りが立とうというもの。