Classici giapponesi con furigana
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くぎぬきとうきちとりものおぼえがき
釘抜藤吉捕物覚書
林 不忘
Leggi 釘抜藤吉捕物覚書 (くぎぬきとうきちとりものおぼえがき) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.085 caratteri · 21 schermate
「おうっ、この暑さになんだってそう潜ってるんだ?」
近寄って見下ろす枕もと、夜着の下からちらと覗いたは、これはまた青々とした坊主頭!
「ややっ、与惣、丸めたな、お前。」
聞くより早く掻巻を蹴って起き上った小物師与惣次、床の上から乗り出して藤吉の膝を抱かんばかりに、
「だ、旦那、聞いて下せえ!」
「なななんだ、何だよう。」
「聞いて下せえ。」
と叫びざま、眼の色変えた与惣次は押えるような手付きをした。
「落ち着け。何だ。」
戸外を背にして早口に話し出す与惣次、その前面に胡坐をかいた藤吉親分、暮れやらぬ表の色を眺めながら、上り框に腰掛けた勘弁勘次は、掌へ吹いた火玉を無心一心に転がしていた。
二
成田の祇園会を八日で切上げ九日を大手住の宿の親類方で遊び呆けた小物師の与惣次が、商売道具を振分にして掃部の宿へかかったのは昨十日そぼそぼ暮れ、丑紅のような夕焼けが見渡すかぎりの田の面に映えて、くっきりと黒い影を投げる往還筋の松の梢に、油蝉の音が白雨のようだった。
朝までには八丁堀へ帰り着き中一日骨を休め、十一日にはまた家を出て十二日の王子の槍祭になんとしても一儲けしなくてはと、与惣次はひたすら路を急いでいた。