Classici giapponesi con furigana
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くぎぬきとうきちとりものおぼえがき
釘抜藤吉捕物覚書
林 不忘
Leggi 釘抜藤吉捕物覚書 (くぎぬきとうきちとりものおぼえがき) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.547 caratteri · 27 schermate
、いま大富町から本田主膳正御上屋敷の横を、媾曳橋へと急いでいる。
天地の終りもかくやとばかり、もの凄い暴風雨の夜。
はじめ、甚右衛門に随いて戸外へ出た時、親分乾児は一つになって庇い合いながら道路を拾ったのだったが、そのうちまず第一に藤吉と勘次の提灯が吹き消される、傘は持って行かれる、間もなく三人はちりぢりばらばらになって、もう他人のことなぞ構ってはいられない、銘々くの字型に身を屈めて、濡れ放題の自暴自棄、いつしか履物もすっ飛んで尻端折りに空臑裸足、勘次は藤吉を、藤吉は彦兵衛を、彦は甚右衛門をと専心前方を往く一際黒い固体を望んで、吹抜けの河岸っ縁、うっかりすると飛ばされそうになるのを、意地も見得も荒風に這わんばかりの雁行を続けて行くことになったのだ。
真夜中。人通りはない。礫のような雨が頬を打って、見上げる邸中の大木が梢小枝を揺り動かして絶入るようにくところ、さながら狂女の断末魔――時折、甚右衛門の声が闇黒を裂いて伝わって来る。
葬式彦は一生懸命、合羽をつぶに引っかけて身軽に扮っているとは言うものの、甚右衛門は足が早い。ともすれば見失いそうになる。