Classici giapponesi con furigana
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くぎぬきとうきちとりものおぼえがき
釘抜藤吉捕物覚書
林 不忘
Leggi 釘抜藤吉捕物覚書 (くぎぬきとうきちとりものおぼえがき) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.598 caratteri · 26 schermate
一
がらり、紅葉湯の市松格子が滑ると、角の髪結海老床の親分甚八、蒼白い顔を氷雨に濡らして覗き込んだ。
「おうっ、親分は来てやしねえかえ、釘抜の親分はいねえかよ。」
濛々と湯気の罩った柘榴口から、勘弁勘次が中っ腹に我鳴り返した。
「なんでえ、いけ騒々しい。迷子の迷子の三太郎じゃあるめえし――勘弁ならねえ。」
「や、そう言う声は勘さん。」甚八は奥の湯槽を透し見ながら、「へえ、藤吉親分に御注進、朝風呂なんかの沙汰じゃあげえせん。変事だ、変事だ、大変事だ!」
「藪から棒に変事たあ何でえ。」
言いさす勘次を、
「勘、わりゃあすっ込んでろ。」
と睨めつけた藤吉、
「変事とは変ったこと、何ですい?」
首きり湯に漬ったまま、出て来ようともしないから、表戸の甚八、独りであわてた。
「見たか聞いたか金山地獄で、ここじゃあ話にならねえのさ。岡崎町の桔梗屋の前だ。親分、せいぜい急いでおくんなせえ。」
「あいよ。」藤吉はうだった声。「人殺しか、物盗か、脅迫か詐欺か、犬の喧嘩か、まさか猫のお産じゃあるめえの。え、こう、口上を述べねえな、口上をよ。」
「桔梗屋の前だ。あっしゃあ帰って待ってますぜ。